公務員試験ガイド
 
◎公務員とは
公務員とは、国または地方公共団体で働く職員を指します。国の機関に属する国家公務員と、都道府県や市町村などに属する地方公務員があります。官公庁や役所に勤務する職員だけでなく、公立学校の教職員や警察官・消防官、公立医療機関の看護師や医療技術者も身分は地方公務員です。
それぞれ、筆記試験面接試験など定められた試験の成績によって合格者が決まり、採用されます。
採用後の業務内容面で見ると、行政職(事務職)、技術職(例:土木、建築、農業)、公安職(例:警察官、消防官、刑務官)、資格免許職(例:保育士、看護師)など、多岐にわたります。行政職の場合は、国の各府省や出先機関、あるいは都道府県庁・市役所等に採用された後、数年ごとの異動により様々な部署を経験しながらキャリアアップしていくのが一般的です。

◎公務員試験の仕組み
国家公務員の場合:人事院や、国会・裁判所・防衛省など各機関が採用試験を行います。人事院が行う採用試験は、総合職試験一般職試験専門職試験経験者採用試験に大別されます。
総合職および一般職の採用先は、各府省庁やその出先機関で、人事院が行う試験に合格後、官庁訪問の結果を踏まえて採用先が決定します。専門職は、国税専門官や財務専門官、労働基準監督官などの区分に分かれ、所管の省庁に採用されスペ
シャリストとしての職務に就きます。

地方公務員の場合:都道府県職員は各都道府県の人事委員会が、市町村職員は各自治体の人事担当部署(人事課、職員課など)が採用試験を行っています。最終合格=採用内定の場合や、最終合格後、採用面接などを経て採用が決定する場合など、採用までのルートが自治体によって多少異なります。
採用試験の流れは採用機関や自治体によって異なりますが、ほぼ共通する概要は、図1のようになっています。地方公務員、特に市役所の場合、二次試験以降も数回の面接試験を経て最終合格、というケースも見られます。

図1 採用試験の流れ

官庁訪問は、国家公務員採用試験(総合職・一般職)の採用プロセスで、試験によって時期が異なります。

試験種目
公務員試験では、公務員として必要な基礎的な能力や各試験区分に応じて必要な専門的な知識などについての筆記試験と、人柄、対人的能力などについての人物試験(面接試験やプレゼンテーションなど)が行われます(表1)。
教養試験・専門試験は第一次試験で、人物試験については第二次試験(およびそれ以降)で行われるのが一般的ですが、最近は、専門試験を課さない試験や自治体も増えています。また、論文試験については第一次試験で行う場合、第二次試験で行う場合や、試験区分によっては課されない場合もあります。
教養試験・専門試験は、表にあるように五肢択一式のマークシート方式が一般的ですが、地方公務員試験では近年、教養試験の代わりにSPIなどを取り入れた枠を設ける自治体もあります。人物試験には、表1の内容のほか、受験者数人のグループで与えられた作業を完成させるグループワークや、適性検査(性格検査)が行われる場合もあります。

表1 主な試験種目と内容


◎試験科目
教養試験(基礎能力試験)および行政系・事務系区分で出題される専門試験の科目は表2のとおりです。
表中、太字の科目は、ほぼすべての試験で出題が見られますが、それ以外は、試験や区分により出題されない場合もあります。
教養試験は、知能分野知識分野に大別でき、知能分野は、文章理解数的処理の科目からなり、ほとんどの試験で全問必須解答です。たいていの問題は時間をかければ正答が出るのですが、制限時間内で解くためには解法パターンやテクニックを
身につける必要があります。知識分野は、社会科学人文科学自然科学という、中学、高校で学んだことのある科目からなり、試験によっては選択解答制の場合もあります。各科目とも出題数は1~2問程度ですから、要領よくポイントをつかんで学習することが大切です。
専門試験(行政職)は、行政系法律系経済系商学系などの科目からなり、試験によって出題科目が異なりますので、併願先を早めに決め、学習する科目を固める必要があります(表3参照)。主要科目である、憲法民法行政法ミクロ経済学マクロ経済学は、どの試験でも出題されますので、まず、これらの科目から学習するとよいでしょう。
教養試験・専門試験とも科目数が多く、出題範囲が広いのが公務員試験の特徴ですが、筆記試験では60~70%程度の得点が合格ラインと言われていますので、そのラインを目指す方策を考えながら学習を進めることが重要です。

表2 試験科目


表3 科目別出題数

※1 全国的に同様の出題が見られるパターン。受験者情報による。


※2 16科目80問中、8科目40問を選択回答。
※3 2023年度から創設された「B区分(理工・デジタル系)」では、専門試験の内容が異なります。
※4 
全国的に同様の出題が見られるパターン。受験者情報による。


◎試験日程
大卒程度の主な試験の、例年の試験日程は表4のとおりです。
地方公務員の場合、道府県の多くと政令指定都市は6月中旬~下旬の共通日に第一次試験を行い、問題内容もほぼ共通となっています(表中の「地方上級」)。また市役所も、6月(地方上級と同日)・7月・9月に共通の試験日が設けられており、それぞれA日程・B日程・C日程と称されています。試験日程が重ならなければ、複数の試験の受験が可能です。公務員試験では出題形式や試験科目に共通性がありますので、試験日が異なる試験の間で併願を考えるのが一般的と言えます。第一志望を中心に、併願のために試験科目の負担が増えないように注意しながら併願先についても検討していきましょう。例年の受験者の併願パターンとしては、試験科目の共通部分が大きい国家一般職・専門職および地方上級を中心に、特別区や市役所B日程・C日程等を組み合わせる例が多いようです。
なお、試験日程については今後、変更になる可能性もありますので、人事院各自治体等ホームページを定期的にチェックしていきましょう。
 
表4 主な公務員試験日程


採用試験情報
○令和7年度裁判所職員採用総合職試験(裁判所事務官)・一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)について

 専門試験が変わります。
・(一般職のみ)記述式の「憲法」が課されなくなります。
・(総合職・一般職共通)多肢選択式の「憲法」の出題数が7題から10題に、「民法」の出題数が13題から10題に変わります。
・(総合職・一般職共通)多肢選択式の選択科目が「刑法」「経済理論」に加え「行政法」も選択できるようになります。

 令和6年度、令和7年度に採用試験が変わります。
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